ALAN PARSONS



Try Anything Once
Arista 07822-18741-2(US)
1993

「ガウディ」(1987)から6年、アラン・パーソンズは長年のパートナーであったエリック・
ウルフソンと袂を分かち、遂にソロになる。但し、サウンド面では大きな変化は見られ
ない。これは、APPの最後の方ではウルフソンが果たす役割がどんどん小さくなり、
代わってバンド・メンバーが大きな比重を占めていくようになっていたことの一つの
証明でもある。これより現在に至るまで、アラン・パーソンズを中心に、イアン・ベアン
ソン(gt)、スチュワート・エリオット(dr)の二人が固定メンバーとなり、作曲にも参加
するようになっている。最初のシングル Turn It Up はイアンの単独作品である。参加
ミュージシャンは他にAndrew Powell, David Pack, Richard Cottle。作品ごとにヴォー
カリストを選定する方法は今も変わらず、David Pack, Chris Thompson, Eric Stewart,
Jacqui Copland の4人がリードを取っている。

このCDはディスク表面が3Dになっており、なにか見えるらしいのだが、悲しいことに
私には分からない。3Dを見るには才能が要るようである。見えた方、教えて下さい。

写真は米盤CDだが、LPもあり、そちらはジャケット違い(赤いドレスの女性が混じって
いる等)であることと曲数が少ないことに注意したい。

なお、エリック・ウルフソンはミュージカルの世界に拠点を移し、途中裁判に負けたり
破産したりと紆余曲折を経て、今では一応の成功を収めている。

The Very Best Live
RCA Victor 09026-68229-2(US)
1995
パーソンズがソロになっただけでも結構な衝撃だったのだが、今度はそれを上回るもの
だった。何と、アラン・パーソンズはライヴ活動も始めたのだ!ところが、それまで全く
ステージに立たないバンドとして有名だったAPPだが (実は86年に2日間だけステージ
で観客を前に演奏したという資料があるが、それはまた別の機会に)、そこは名うての
強者揃い、ライヴ活動をしない方がおかしいくらいなものだったと言えよう。今では彼らは
大きなツアーも年に何本かこなしている。

日本盤、アメリカ盤、ヨーロッパ盤と出ているが、これは米盤で、その彼らの94年5月オラ
ンダでのライヴからの12曲に加えて3曲のスタジオ・トラック When, Take The Money
And Run, You're The Voice (いずれも初録音) がボーナスとしてついている。だから
買うならこのジャケットがお勧めである。

参加メンバーはライヴが Alan Parsons, Ian Bairnson, Stuart Elliott, Andrew Powell,
Gary Howard, Richard Cottle, Jeremy Meek, Felix Krish。 スタジオの方で Chris
Thompson が加わってYou're The Voice を歌っている。特筆すべきは、スチュワート・
エリオットが自作の Take The Money And Runで初のリード・ヴォーカルをつとめてい
ることだろう。

On Air
Hori Pro XYCA-00031(JP)
1997

ここからAPのアルバムは、なんと日本のあのホリプロから出る!日本盤のみApollo
Ambient Mix が ボーナス・トラックとして付いている。他にもおまけとしてCD‐ROM
がついており、画像や映像入りで曲が聴けたり、APクイズなども楽しめる。米盤は
バグが多いので、改良されている日本盤をお勧めする。

メンバーはAlan Parsons, Ian Bairnson, Stuart Elliott, John Giblin, Gary Sanctuary,
Richard Cottle の6人。ヴォーカリストは Eric Stewart, Neil Lockwood, Steve
Overland, Christpher Cross, Graham Dye の5人。個人的にはGraham Dye の復活と、
ちょっと意外な人選ながら透明感のある歌を聴かせてくれたChristpher Crossの参加が
嬉しかった。

「空」 をテーマにしたこのアルバムの中でもとりわけ印象的な Brother Up In Heaven
は、実は湾岸戦争にアメリカ軍の一員として従軍し、戦死したイアンの従弟さんに
イアンが捧げた曲である。謹んでご冥福をお祈りする。

そしてこの年、APは初の来日公演を行った。

The Time Machine
Hori Pro XYCA-00041(JP)
1999

最新作はタイム・マシンがテーマである。2000年問題を避けるために99年のうちに出さ
れたとも言われ、この年彼らは再来日している(詳しくは来日のページ参照)。

主なメンバーはAlan Parsons, Ian Bairnson, Stuart Elliott, Richard Cottle, John
Giblin, Robyn Smith。リード・ヴォーカリストはTony Hardley, Neil Lockwood, Colin
Blunstone, Maire Brennan, Beverly Craven の5人で、大きな期待が寄せられていた
Chris Rainbow はバッキング・ヴォーカルのみの参加にとどまり、ファンを少なからず
落胆させた。しかし、やはり素晴らしいの一言に尽きる Colin Blunstone や女性2人の
活躍はそれを補って余りある。前作に比べるとやや性急に仕上げられた感のあるアル
バムだが、質の高さはさすがである。

冒頭の H.G.Force という曲が映画 「オースティン・パワーズ・デラックス」 で使われた
(Dr.Evil Mix)ので、それで知っている人もあるかもしれない。日本盤にはこのミックスは
収録されていないが、ボーナスとしてAPの語りがフィーチュアされた Beginnings という
曲が入っている。

追記
次のアルバムは2001年の予定、とのことだったが、01年夏の日本公演 を最後に、
アランは"Alan Parsons Live Project"としてのステージ活動を一旦やめてしまった。
最大の理由はアランがアメリカに移住したことだった。他のメンバーはイギリスに
住んでおり、大西洋を挟んでの活動に限界を感ぜざるを得なかったのだという。
アランは現在2004年夏発売予定の自身のアルバムの製作中で、ライブ活動も
それと並行して再開しているが、メンバーは全員入れ替わっている。イアンの姿は
ない。(2004.03.15記す)




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