次に日本である。優れたプロデューサーであり名アレンジャーでもあり(寺尾聡の「ルビーの指輪」のアレンジが
特に有名)、自身の名義でも多数のアルバムを発表している井上鑑氏とのつながりで、イアンには日本人
アーティストとの仕事も突出して多い。井上氏自身の作品を筆頭に、杉真理、飯島真理、杏里、
チャゲ&飛鳥、小泉今日子、浅香唯、佐々木幸男、佐木伸誘など、それこそ枚挙に暇がない。
他にも Jon Anderson, Tom Jones, Lenny Zakatek, Kenny Rogers, Tam White, Chris Rainbow などの他、
90年代に入ってからは Beverley Craven をスタジオとステージの両面でサポートしており、彼女がアラン・
パーソンズの The Time Machine で歌うことになったのは、その縁によるものと思われる。彼のセッションの
詳細については
セッションのページおよび
セッション別項をご覧いただくとして、セッション関連では最後に
KEATS(1984)を挙げておく。このバンドはいわゆるスーパー・グループであった。メンバーがすごい。
当時のAPPの要であったドラムスのStuart Elliott、ギターの Ian、 ベースのDavidの3人に、ヴォーカルとして
元ZombiesのColin Blunstone、キーボードに元Camelの故Peter Bardensを加えた5人というそうそうたる
顔ぶれであったのだから悪くなりようがないようなものだが、Alan Parsonsプロデュースによる同名のアルバムを
1枚残すにとどまってしまった。個人的には大好きであるが、世間の評価はあまり芳しくなかったようだ。
また、意外なところでイアンの姿が見られるのが映画
Papermask (邦題「背徳の仮面」、ビデオあり)である。
イアンの役はパブ・バンドのギタリストで台詞こそないものの、しっかりと画面に映るし、ちょっとした演技もあり、
エンドロールでは名前も出る。因みに、このバンドはそっくりそのまま当時のTam White Bandである。タムは
ジャズ歌手で、イアンとはエディンバラのTiffany's のハウス・バンド Band Of Gold以来の仲間である。
元々ジャズ的要素の強いプレイを得意とし、Stanley Clark や Steve Gadd との共演や Ronnie Scott's 等の
ジャズ・ハウスにも出演しているイアンのこと、最近ではそういう傾向の作品も多いそうだ。
私生活ではオフ・ロード・バイクを趣味とし、99年にブラジル人トップ・モデルのLeila夫人と再婚している。
(写真上/Paris の Have You Ever Been In Love ジャケット写真(81)より)